公益社団法人日本駆け込み寺の玄秀盛さん。「東北大震災」を通して得た知人の紹介で初めてお会いして、早速、呑んだ。新宿歌舞伎町で、刑務所出所の人たちの支援のために、玄さんは居酒屋店を開いていた。今は、「駆け込み餃子」しかないが、当時は、その店に、何かがあると足を運んでいた。
同じ年月を生きてきたという親しみはあったにせよ、玄さん独特の語り口や話の内容に、酒以上に酔わせる何かがあった。
詳しく、玄さんのことを知るのは、東北大震災直後の困難な中、宮城県石巻市の日本製紙工場の復興に向けた奮闘ぶりを上梓したノンフィクションライターの佐々涼子さんの「駆け込み寺の男 玄秀盛」読んでからである。玄さんに訊くと、佐々涼子さんは、玄さのところでお手伝いをしながら、玄さんを取材したという。とにかく、その描かれた玄さんの生きざまに驚いた。
その「日本駆け込み寺」も2022年で20周年を迎え、記念企画を連続で企画しているとのお知らせがあった。世の中には、こうした社会課題にいのちをもって駆け抜けようとしている人がいる。そして、それを支援する人たちがたくさんいることも事実なのだ。玄さん自身も、「もう、駄目か」と言っては、何度、蘇ってきたことか。その「物語」が人を酔わせるのだ。